津地方裁判所 昭和55年(わ)34号 判決 1980年6月27日
裁判所書記官
山本訓生
本籍・住居
三重県鈴鹿市下大久保町二八三九番地の二
会社役員
榊原裕
昭和一八年九月一日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官伊東正出席のうえ審理して、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一〇月及び罰金一、四〇〇万円に処する。
右罰金を完納することのできないときは、金一〇万円を一日に換算した期間労役場に留置する。
この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、鈴鹿市下大久保町二八三九番地の二に居住し、名古屋市中区栄二丁目七番一三号パークサイドホテル白川に事務所を置き、フィールド貿易の名称で、米国ボストン、ヒューストン向けに工作機械の輸出を主たる業務とする貿易業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、工作機械の輸出及び国内売上収入並びに輸入した塩漬原皮の売上収入などを記帳整理していたにもかかわらず、所得税の計算をせずに所得の一部を秘匿したうえ、昭和五二年分の所得金額は一億二、三八九万一、三四二円であり、これに対する所得税額が七、七七一万一、五〇〇円であったにもかかわらず、昭和五三年三月一五日鈴鹿市神戸矢田部町焼溝一一一一番地所在の所轄鈴鹿税務署において、同税務署長に対し、所得金額は二六〇万円であり、これに対する所得税額が一四万七、四〇〇円である旨の虚偽過少の確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額と申告税額との差額七、七五六万四、一〇〇円を免れたものである。
(証処の標目)
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 鈴鹿税務署長作成の各証明書
一 大蔵事務官作成の各査察官調査書及び各調査書
一 土井文弘、桐山修、長浜章、林幹夫、加藤明生、山本宏喜、内海正博、西海寛作成の各帳簿類等の写
一 星川昌彦、篠崎良雄、伊藤裕章、中島茂三、松井元信、桜本絹江、太田勝己、中川昭、坂下由美子作成の各上申書
一 遠藤逸司作成の為替相場表
一 星川昌彦作成の輸出貨物代金荷受証明書控等の写
一 鳥谷祐子、榊原勝、入山かおる、宮田富治、橋田光夫、伊藤強、萩野聖作成の各証明書
一 梶田健、今川塩見、塩川史、溝上貢、高橋洋子、西岡竹次郎、林信之、相馬広見、野木千鶴恵、横井照雄、森六男、伊藤肇、伊藤照満、加藤一実、森岡寛之、小島勝義、青木伸吉、青木善治、青木聰、箕浦秀彦、田中知、栗木健守、今井武夫、堀田金明作成の各回答書
一 水野凱屯、坂下由美子の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 押収してある営業費帳簿元帳、経費明細表各一綴、銀行勘定帳一冊、オーダー別金銭出納帳一綴、手形受払帳、元帳、金銭出納帳、仕訳帳各一冊、経費明細帳一綴(昭和五五年押第二四号の一ないし九)
(法令の適用)
所得税法二三八号、刑法一八条、二五条一項、刑訴法一八一条一項本文
(裁判官 平野清)